2016.07.28 Thursday

038 イカサマ文書 by JAGDA - vol.3

真偽の信頼性を著しく欠いたイカサマ文書(イカサマ文書と記す理由=第1回コンペの審査委員や関係者の誰にも話を聞かず、信頼性の高い情報が収集されずに作成され、筆者主観の創作文となっており、記述内容が審査委員として知り得る情報と照合すると、明らかに事実と食い違う表現の箇所が複数あり、その上、記載すべき重要な事実が記載されずに事実隠蔽が行われているなど、信頼性が著しく劣る不適切な内容であるため。文書公開後に、文書解読篇を更新予定)が、ゲリラ的方法でお披露目された6月25日(土)の総会から24日後の7月19日(火)に、JAGDA公式見解文書を郵便で受け取りましたところ、文書とともに会長と副会長2名の署名入りの、とても不思議な文面の手紙が同封されておりました。

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JAGDA会員のみなさまへ

JAGDA第33回通常総会が6月25日に京都で開催されました。

総会で公表いたしました「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 エンブレム第1回設計競技について」を送付します。ぜひご一読ください。

この文章は、JAGDA全理事、全運営委員により、幾度も議論と修正を重ねて、合意に達したものです。みなさまにもいろいろご意見があると思います。周りの方とも協議していただき、ご感想、ご意見などありましたら、事務局までお寄せいただければと思います。

*総会当日は、コピーによる簡易版でしたので、欠席の会員のみなさまを含め、出席頂いた方にも改めて送付させていただきました。

2016年7月

会長名
副会長名(2名)
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わずか7行の手紙の中にも、「みなさまにもいろいろご意見があると思います。周りの方とも協議していただき」という、視点すり替えの話法が取り入れられ、「ご感想、ご意見などありましたら、事務局までお寄せいただければと思います。」と、公平性を担保しているかのようにもっともらしく見せかけて、仕立てられておりますが、そもそも信頼性のないイカサマ文書を基にして、会員どうしで協議しろと言われても、その前提自体が間違っているわけですし、信頼性のない文書の協議という行為に何の意味があるのかまったく理解できません。例えば「この文書の中で、おかしいと思われる箇所があれば指摘して下さい。わからない箇所があれば質問して下さい。」という文面であれば、送付された主旨や意図がすこしは理解できるのですが、協議しろと言われても、「はいわかりました。周りの人と協議します。」と受け入れることなどできません。

ここには肝心の、『この文書が6月25日に総会議決案として強行採決がとられ、結果、公式見解文書であるかのように見せかけてはいるが実際は、総会前に会員に向けて文書を送付するという義務を果たしておらず、委任状にサインした会員が事前に文書に目を通していないために、公式見解文書とはいえない非公式見解文書である』という、JAGDA理事会と運営委員会が説明すべき、重要な観点である文書の実像について、ひと言も説明されておりません。ここに至るまでの一連の経緯を考えただけでも、本来であれば、この文書は破棄されるべきものだと思います。

更にこの手紙の問題点について分析を進めますと、JAGDA会員全員に文書を送り、その結果として複数の会員から意見が出てきたとしても、個人対JAGDA事務局という構図は密室になるため、例えば良い意見も悪い意見も、全てはJAGDA事務局が公表しなければ、会員が他の会員の意見や考えを把握することができません。事実、五輪エンブレム問題が発覚して以降、JAGDA事務局に対して、全国の会員から意見が寄せられてきていると聞いておりますが、そのようにして集まった会員の貴い声は、全会員に向けていっさい報告されておりません。事務局は公表するしないを判断できる立場ではないため、おそらくは理事会の判断と指示のもと、寄せられた会員の声がJAGDA理事会と事務局内で留められているのだと思いますが、その結果、五輪エンブレム問題に関しては、JAGDA会員からは不満や批判の声がいっさい上がらずに、会員は何も問題を感じていないかのような空気がJAGDA内を覆っているのです。

しかし、総会で議決されて承認されたという事実がありながら、ひと言もそのことに触れていないのは何故なのでしょう。その事実を総会の場に居合わせた201名以外の2,848名の会員は知らないという事実がありながら、何故知らせないのでしょう。総会で決議し、承認(承認=JAGDA会員全員の総意と位置付くこと)された文書であるという事実を会員に知らせない理由は何なのでしょう。このように、何の説明もなく文書本体のみを送付したこの度の方法は不適正であり、会員に送付したという既成事実を作ることによって公式見解文書と位置付けるための策であったと指摘されても反論できないと思います。

手紙には、「ご感想、ご意見などありましたら、事務局までお寄せいただければと思います。」と書いてあり、もし仮に、会員からの意見が集まったとしても、それをどのように扱うのか、現時点では説明がありません。そしてその意見を文書の中に反映するとも書いてありません。集まった意見は、個人を守るために名前を伏せるという方法で開示すべきであると思いますし、情報を開示しないのであれば、「ご感想、ご意見などありましたら、事務局までお寄せいただければと思います。」という提案は、会員の不満を軽減させるためのガス抜きであり、単なるポーズだったと捉えます。

そういえば、7行足らずの手紙の文面にも、「この文章は、JAGDA全理事、全運営委員により、幾度も議論と修正を重ねて、合意に達したものです。」という一文が、文書同様に記してありましたが、「幾度も議論を重ねた」ということをそこまで強調し、明言するのであれば、「幾度もの議論」の根拠となる、議事録などの会議の記録を公表していただくことを希望いたします。

そもそも公式見解文書で有るのか無いのか以前の問題として、世界に醜聞を轟かせ、日本デザイン界の信頼を失墜させた五輪エンブレム問題に関して、問題の当事者たちが多数会員として所属するJAGDAの見解文書が、問題が起きてより1年という年月を経たというのに、これほどまでに稚拙な内容で、信頼性のない、虚偽の捏造文書であることで信頼回復の機会を逸してしまい、この、全文が詭弁ともいえるイカサマ文書については議論の余地はなく、即刻、破棄すべきであると思います。

「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 エンブレム第1回設計競技について」という現タイトルからも伺える、曖昧で無責任なスタンスではなく、「見解」という立脚点のみに立った文書でもなく、見解とともに事実を公平公正に記録し、総括するという視点に立った『五輪エンブレム問題の総括及び見解』という新たな文書の作成が急務であると考えます。
 

平野敬子

 

平野敬子 デザイナー/ビジョナー コミュニケーションデザイン研究所 所長
白紙撤回となった2020東京五輪エンブレムの審査委員を務める

[ブログ更新後の新たな疑問]
ブログ038章を更新したあとに、件の見解文書がJAGDA公式ホームページ上に公開されたことを知りました。公開された内容は、総会で公表された見解文書の表紙と13ページの内の7ページ分のみであり、なぜかP8-P9の年表とP11-P13のico-Dの声明文書が外されておりました。

ブログ037章で記したとうり、総会議決案として採決をとったのちに全会員に郵送された見解文書「東京2020オリンピック•パラリンピック競技大会エンブレム第1回設計競技について」は、13ページの構成による冊子でしたので、13ページ全文がJAGDAの見解であると認識しておりますので、冊子の部分の公開という方法論に対して、不信感を抱くとともに、新たな疑問が生まれました。

再度、JAGDA文書の構成内容を説明しますと、本文13ページからなる見解文書の内訳は、P1は挨拶文、P2-P7は見解、P8-P9は年表のような体裁の歪曲された史実の列記、P10は白紙、P11-P13はico-Dが公表した「東京2020大会エンブレム一般公募に対するico-Dの異議申し立て」というタイトルの声明文書の全文が転載され、世界的な協議会であるico-Dの声明文記載によってJAGDA文書の冊子は締めくくられています。

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表紙 タイトル/日時/組織名
P1 挨拶文 (署名なし)  理事と運営委員の名前
P2-P7 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 エンブレム第1回設計競技について
P8-P9 経緯 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 エンブレム第1回設計競技
P10 白紙
P11-P13  東京2020大会エンブレム一般公募に対するico-Dの異議申し立て
裏表紙 白紙

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以上の13ページの構成内容が、配布された見解文書の全容です。表紙に「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 エンブレム第1回設計競技について」というタイトルが付いた中とじ仕様の冊子を総会で配布して、採決をとったという経緯を考えますと、13ページの全文がJAGDAの見解だと理解しておりました。ではなぜ議決内容と異なる部分のみを、JAGDA公式ホームページ上に公開したのでしょうか。

 

平野敬子
2016年7月29日

五輪エンブレム問題の
事実と考察
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