2016.11.30 Wednesday

043 「要望書へのJAGDAの回答」に対する更なる質問

2016年11月17日に提出した要望書http://hiranokeiko.tokyo/?eid=86に対するJAGDAの回答が、11月25日に送られてきました。

以下に、JAGDAの回答を記載いたします。

[JAGDAの回答](*JAGDA回答は青字)
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「要望書」に対する回答

1)「組織見解」について 
前回もお答えしたとおり、本見解は、三役が草案を作成し、理事、運営委員の持ち回りによる承認を得て発表したものであって、適正な手続きを経た「組織見解」である。本見解の発表については、もとより「総会での承認の手続きが不可欠」のものではなく、総会の承認を求める必要はなかった。

2)本見解の無効確認について
このため、平野氏その他の正会員は、本見解の無効確認などを求める訴訟その他の法的手続きをとることはできない。
しかし、定款13条3項2号により、「総正会員の議決権の10分の1以上の議決権を有する正会員」として、本見解の有効・無効などに関する、あるいは本見解の作成に関与した理事の解任(定款26条)を求める臨時総会の招集を請求することは可能である。

 

2016年11月25日
公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会
事務局長


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11月25日に受信した上記の「要望書へのJAGDAの回答」に対して、様々な疑問が生まれましたので、弊社顧問弁護士の見解(平野同意)をふまえた質問書を11月30日にJAGDA事務局へ送りました。

以下に、本日JAGDAに送った質問書を記載いたします。

[JAGDAへの質問書](*JAGDA回答は青字)
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公益社団法人
日本グラフィックデザイナー協会 殿

11月17日にお送りした「要望書へのJAGDAの回答」を11月25日に受領しました。その回答に対して、様々な疑問が生まれましたので、弊社顧問弁護士の見解(平野同意)とともに、質問を送ります。


「要望書へのJAGDAの回答」に対する更なる質問

「要望書(11月17日送付)へのJAGDAの回答(11月25日受領)」に対する弊社顧問弁護士の見解と(平野)質問(11月30日送付)

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2016/11/25 (JAGDA)回答
1)「組織見解」について 
前回もお答えしたとおり、本見解は、三役が草案を作成し、理事、運営委員の持ち回りによる承認を得て発表したものであって、適正な手続きを経た「組織見解」である。本見解の発表については、もとより「総会での承認の手続きが不可欠」のものではなく、総会の承認を求める必要はなかった。


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2016/11/30 弊社顧問弁護士の見解と(平野)質問
理事の見解としてではなく、組織としての見解とするにあたり、総会での承認が必要なのか、理事と運営委員会の承認で足りるのか。そこは定款上はっきりしておらず、どちらの立場も成り立ちます。事務局長は、総会承認が不可欠ではないと述べています。もちろん総会承認が必要との規定は定款http://www.jagda.or.jp/about/org/aoa/にはありませんが、理事会で決められるという規定もありません。決め手はありません。事務局長が総会承認不要と断言する根拠が分かりません。(顧問弁護士の見解)

そもそも定款4条の事業の項目には、見解の発表という事業はありません。これまで組織で見解発表したことはあるでしょうか。過去の事例はあるのでしょうか。見解を発表するという行為は、そもそも組織の事業として想定されていないのではないでしょうか。では、見解発表してはいけないかといえば、そういうこともないと思います。定款にあるように、その他目的達成するために必要な事業は可能でしょうから。(顧問弁護士の見解)

組織見解を作成するには、総会承認が不可欠かどうか。そこは人により考え方が異なると思います。法律家としては、総会承認が必要と考えます。なぜなら、日頃からよくしていることで、これまでクレームがないことなら、執行部に一任で良いと思いますが、初めてのこと、これまでやっていないことで、定款に理事会で決められるとの根拠が明記されていない以上、複数の考え方があるとするなら、より慎重な方法を取るべきであると思うからです。会員の意思がより反映するように、総会決議を取るべきではないでしょうか。ましてや、社会的問題となった五輪エンブレム問題に関する見解文書を公益社団法人という立場から記録するにあたり、公益団体であるなら、より民主的な運営方法を選択すべきだと思います。定款上根拠が不明な事項は、なるべく総会にかけるのが妥当です。それに承認を取った方が、見解にも重みが増します。(顧問弁護士の見解)

(質問1)「総会の承認を求める必要はなかった。」とする論拠を「総会での承認の手続きが不可欠のものではない」と説明されていますが、弊社顧問弁護士は「総会承認が必要との規定は定款にはありませんが、理事会で決められるという規定はない」と指摘しています。「理事会で決められるという規定はない」にもかかわらず、なぜ総会承認不要であると断言できるのか、その論拠を説明して下さい。

回答には「適正な手続きを経た」と明言されていますが、関係者からは、一部の理事には総会前日に書面が届き、運営委員には総会1週間前に文書がメールで送られ、内容に異議申し立てをする運営委員の意見が充分に反映されず、会議でいちども討議をされないまま総会で発表された文書であると聞いています。そのような経緯で公開された文書を『適正な手続きを経た「組織見解」である。』と断言されることに対して、著しく違和感を感じています。

(質問2)「適正な手続き」と表記されている文言「適正」の定義は何なのか、説明して下さい。「適正な手続き」だとする手続きのプロセスを、具体的な履歴を基づき、説明して下さい。

(質問3)一連の文書で繰り返し多用されている「組織見解」という文言について質問します。「組織」とは「JAGDA」のことですか。「組織」の定義、ならびに「組織見解」の定義を説明して下さい。

2016年6月25日に京都で開催されたJAGDA総会http://hiranokeiko.tokyo/?eid=74の冒頭に、事前予告もなく、突然、副会長の原研哉氏が文書を朗読し、朗読直後に、議案承認を促すべく「了解いただきたい」と発言し、会場に集う会員が拍手をしました。最終的には、1名の反対者がいたにもかかわらず、強行的に承認を取り付けた事実があります。見解文書に関して異議を申し立てた会員の質問に対して、大迫事務局長は「今日、決議しなければ明日からこの組織が活動できません。ですから是非、議事きちんとやっていただかないと‥‥」と、この文書公表と承認を促すアクションを「議事」と明言されました。

(質問4)今回の回答で、『「総会での承認の手続きが不可欠」のものではなく、総会の承認を求める必要はなかった。』と断言されておりますが、ではなぜ京都での総会の入口で文書が配布され、事前予告もなく突然、朗読という方法で文書が公表され、反対者がいたにもかかわらず、強行的に承認をとりつけたのですか。一連の行動の理由を説明して下さい。

「本見解は、三役が草案を作成し」と記述されていますが、草案は原研哉氏が執筆したということを、運営委員と理事及び関係者から聞いています。

(質問5)「本見解は、三役が草案を作成し」と明言するのであれば、いつ、どこで、どのように作成が行われたのか、三役が草案を作成した具体的なプロセスを教えて下さい。

7月19日に会員に郵送された文書に添えられた会長と副会長2名、三役の署名による手紙http://hiranokeiko.tokyo/?eid=78には、「この文書は、JAGDA全理事、全運営委員により幾度も議論と修正を重ねて、合意に達したものです。」という記述がありました。しかし、文書については、総会で公表されるまで、会議等でいちども討議されたことがなかったということを、運営委員と理事から聞いています。

(質問6)運営委員と理事からは討議していないと聞いている文書を、なぜ「JAGDA全理事、全運営委員により幾度も議論と修正を重ねて」と明言するのか。そうであれば、いつ、どこで、どのような形で、何回討議が行われたのか。会議の記録や議事録等、具体的な根拠を示して下さい。複数回の討議が事実であるという根拠を提示し、証明して下さい。

(質問7)ある運営委員からは、「自分は承認していない」と聞いています。ですので、本当に全員が「承認」したのであれば、いつ、どういう方法で承認をとりつけたのか、承認の方法を具体的に示し、理事と運営委員の全員が承認したことを証明して下さい。

(質問8)「理事、運営委員による持ち回りの承認」との説明の、「持ち回りの承認」とはどういう方法なのか、説明して下さい。

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2016/11/25 (JAGDA)回答
2)本見解の無効確認について
このため、平野氏その他の正会員は、本見解の無効確認などを求める訴訟その他の法的手続きをとることはできない。
しかし、定款13条3項2号により、「総正会員の議決権の10分の1以上の議決権を有する正会員」として、本見解の有効・無効などに関する、あるいは本見解の作成に関与した理事の解任(定款26条)を求める臨時総会の招集を請求することは可能である。


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2016/11/30 弊社顧問弁護士の見解
見解の無効確認訴訟はできないとのことですが、現時点では訴訟をするわけでもないでしょうから、その点の事務局長のご意見はひとまず横におくとして、公益団体として団体の民主的な運営を大切にするのなら、訴訟の可否や理事の解任に触れる前に、もっとやるべきことがあるのではないでしょうか。組織の中で役職につく者は、その責務として、会員から運営方法に批判が出されれば、一連の経緯を真摯に検証することが求められると思います。その点については紋切型の回答しかせずに、無効確認についてあえて言及する、事務局長の真意が分かりません。法的な訴訟や解任の問題に言及する前に、先ずは会員に対し真摯に答えていくべきだと思います。(顧問弁護士の見解)


[JAGDAへの質問の一覧]
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(質問1)「総会の承認を求める必要はなかった。」とする論拠を「総会での承認の手続きが不可欠のものではない」と説明されていますが、弊社顧問弁護士は、「総会承認が必要との規定は定款にはありませんが、理事会で決められるという規定はない」と指摘しています。「理事会で決められるという規定はない」にもかかわらず、なぜ総会承認不要であると断言できるのか、その論拠を説明して下さい。

(質問2)「適正な手続き」と表記されている文言「適正」の定義は何なのか、説明して下さい。「適正な手続き」だとする手続きのプロセスを、具体的な履歴を基づき、説明して下さい。

(質問3)一連の文書で繰り返し多用されている「組織見解」という文言について質問します。「組織」とは「JAGDA」のことですか。「組織」の定義、ならびに「組織見解」の定義を説明して下さい。

(質問4)今回の回答で、『「総会での承認の手続きが不可欠」のものではなく、総会の承認を求める必要はなかった。』と断言されておりますが、ではなぜ京都での総会の入口で文書が配布され、事前予告もなく突然、朗読という方法で文書が公表され、反対者がいたにもかかわらず、強行的に承認をとりつけたのですか。一連の行動の理由を説明して下さい。

(質問5)「本見解は、三役が草案を作成し」と明言するのであれば、いつ、どこで、どのように作成が行われたのか、三役が草案を作成した具体的なプロセスを教えて下さい。

(質問6)運営委員と理事からは討議していないと聞いている文書を、なぜ「JAGDA全理事、全運営委員により幾度も議論と修正を重ねて」と明言するのか。そうであれば、いつ、どこで、どのような形で、何回討議が行われたのか。会議の記録や議事録等、具体的な根拠を示して下さい。複数回の討議が事実であるという根拠を提示し、証明して下さい。

(質問7)ある運営委員からは、「自分は承認していない」と聞いています。ですので、本当に全員が「承認」したのであれば、いつ、どういう方法で承認をとりつけたのか、承認の方法を具体的に示し、理事と運営委員の全員が承認したことを証明して下さい。

(質問8)「理事、運営委員による持ち回りの承認」との説明の、「持ち回りの承認」とはどういう方法なのか、説明して下さい。


以上、弊社顧問弁護士の見解をふまえた上で8つの質問を記述いたしました。過去にも質問をお送りしていますが、答えが返ってくる質問と、無視され答えが返ってこない質問がありましたので、今回は8つの質問全てにご回答いただきたく、よろしくお願いいたします。

 

平野敬子
2016年11月30日


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平野敬子

 

平野敬子 デザイナー/ビジョナー コミュニケーションデザイン研究所 所長
白紙撤回となった2020東京五輪エンブレムの審査委員を務める

お知らせ:11月1日発売の『建築ジャーナル』(11月号)の特集「五輪を嗤う」に寄稿しました。
http://www.kj-web.or.jp/


五輪エンブレム問題の
事実と考察
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